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職業指導学について
『職業指導学の樹立と展開』 福山重一
(元芦屋大学学長 大学院長 経済学博士 モスクワ大学名誉博士)(故人)

職業指導学の展開
私は戦後の教育改革が進行して新制度の大学が発足し、国立大阪青年師範学校は昭和24 年(1949)4 月大阪府立(浪速)大学教育学部となり、ここに職業指導を教育の基盤とする教育の研究と実践の場としての教育学部を成立させ、同年12 月5 日研究の実践方法として開発した「F 式選職能力テスト」を全国都道府県の教育委員会及び国立大学教育学部、官公私立教育研究所に送り批判を請うた。
続いて翌25 年(1950)2 月15 日教育改革後の第1 回中学校卒業生(大阪府)にこれを実施、同年3 月1 日日本産業教育研究会を創立し、年々実施範囲を拡大し全国に及ぼした。(拙著「職業指導研究(22 版)」第5 編第6 章「テストの実施と職業選択能力養成の評価」P169〜349 参照)かくて戦後新教育制度の下に中学校教育が、如何に進められたかを良く評価することができた。
更にこれを海外に展開し、この中学校教育についてはアメリカの中学校をモデルとしているので1973 年、今は故人となられたハワイ大学教授阪巻駿三博士と州政府教育長官、元ハワイ大学教授網岡四郎博士の好意により、ハワイ州と芦屋大学との合同研究プロジェクトを編成してこのテストを用いて比較研究をなし、 ハワイの中学教育の実態を知り、日本との比較をなすことができた。この比較研究の報告書と「F 式選職能力テスト」を全米各州教育長官宛に送付して批判を仰だところ、各州から貴重な見解が寄せられ好評を博した。
(前掲拙著「F 式選職能力テスト」並びに「ハワイにおける中学校の進路指導とわが国との比較」に対するアメリカ合衆国各州教育当局者の見解についてP617〜642 参照)
さらに寄せられた貴重な見解に私見を加えて小論文となし、各州長官に送付して感謝の意を表した。かくして1976 年6 月G.G.Ripp 女史、C.Blackman 女史の好意により、ニューヨーク市と芦屋大学と合同研究プロジェクトを編成して「F 式選職能力テスト」を用いて比較研究をなし、ニューヨーク市の中学校教育の実態を知り、日本との比較研究をなし、この研究は翌1977 年6 月実施校、実施生徒を拡大して引き続き進められニューヨーク市の教育の実状を正確に把握することができた。
同年11 月29 日ニューヨーク市のエセックスハウスホテルで記者団の要請に応じて会談し、「このテストは全米に広がる」「欧州でも実施せよ」との意見が出、American Teacher 誌は、このテストはアメリカの子供の心を把らえるであろう」との記事を載せた。(前掲拙著「アメリカ合衆国における中学校の職業指導」P577〜580 参照)
1978 年、三度ハワイ州と芦屋大学との合同研究プロジェクトを編成して「F 式選職能力テスト」を実施し、1973 年の資料と比較研究をなし報告書を作成したところ、ハワイ州教育局はこのテストはキャリア教育プログラムの消長を極めて的確に把握し、キャリア教育評価の有効な手段であるとなし、これを長期にわたって実施することにした。この研究報告は、1980 年8 月州教育局により公刊された。
1978 年11 月、第19 代アメリカ合衆国教育長官マーランド(S.P.Marland Jr.)博士、ソ連邦高等中等専門教育大臣エリューチン(VPYelyutin)博士の支援を得て、世界で初めての職業指導学国際会議を開催し、私は終身議長に選ばれ、私の学説が高く評価され、各国からテストの実施の要請を受けた。殊にソ連は強い関心を示し、ジリツォフ(E.N.Zhiltsov)モスクワ大学教授はこのテストの研究を続けていると報告した。
1979 年5 月VP エリューチンソ連邦高等中等専門教育大臣に招かれて訪ソした際に、モスクワ市の中学校に実施した「F 式選職能力テスト」について同教授より研究討議を求められ1980 年10 月の第2 回職業指導学国際会議にはその研究成果の発表があった。更に1981 年6 月再度招かれ訪ソの際、同教授よりターリン(エストニア共和国)、アルマアタ(カザフ共和国)、トビリシ(グルジア共和国)の三市にて実施中との報告を受け、1982 年11 月の第3 回職業指導学国際会議ではその研究結果が報告され、「F 式選職能力テスト」のWORKSHOPが行われ、「職業指導学」は高度の科学技術の発達と高齢化社会の急速な拡大より生ずる人生の不安の除去方法としての生涯教育の基盤となるとの私の提案が採択され継続審議となる。
また同年7 月16 日パリのユネスコ本部の依頼にて「職業指導学とF 式選職能力テスト」についての講演を行い、フランス文部省でも講演を求められた。なおイギリスでは既にテストが実施され、フランス、スイスでも実施中であり、第4回会議では各国にテストの実施本部を置くことが議決された。更にこのテストは1985 年1 月コンピュータ化された。また会議の翳頭T.H. ベル長官の代理としてS.P マーランドJ 正元長官より、職業指導に尽くした功績により米国教育長官賞が私に授与された。
1986 年11 月に開催された第5 回国際会議では、「F 式選職能力テスト」をコンピュータ化したFUKUYAMA PROFILE のWORKSHOP が行われた。今やこのテストはアメリカ、ソ連を始め、イギリス、フランス、スイス、ドイツ、台湾で使用されつつあり、殊に1988 年5 月25 日ソ連で教育のペレストロイカに使用されることになった。これよりさき、1987 年9 月22 日フランスのアヌシーで開催された第12 回ガイダンス世界会議で、「福山職業指導学」の提案を独創性をもつプリンシプルの卓越した学説であるとの評を受け、更に1988 年3月24日米国のノーフォークでの技術教育世界会議においても「福山職業指導学」を提案し、アヌシーにおけると同様な好評を受け、「職業指導学」はガイダンス、技術教育の基盤をなすものであるとの私の主張が承認された。
1988年5月25日のモスクワ大学において名誉教授授与式切記念講演では、「職業指導学」は生涯教育の基盤にあるべきであると主張し、出席者に深い感銘を与えた。この講演は、モスクワ大学の学報でも発表された。また同年11月第6回職業指導学国際会議が、「21 世紀の指導原理としての職業指導学」とのテーマの下に開催され、ソ連代表はこもごも「F 式選職能力テスト」を教育のペレストロイカに使用する根拠を説明し、アメリカ代表等との質疑応答が行われ、会議は最高潮に達し、出席者一同深い感銘を受けた。
また1988 年11 月10 日発刊の拙著「F 式選職結果吟味表(個人)一労務管理の評価法一」の解説が行われ、1991 年5 月開催の第7 回会議は、「21 世紀の指導原理としての職業指導学の展開」をテーマとすることを決定して閉会した。
21 世紀を開く国際会議として、世の期待は大きい。1990 年2 月20 日ソ連はモスクワの国家国民教育委員会の大会議室に15 の共和国、モスクワ始め主要な都市及び科学アカデミー等の代表者を集めて、モスクワ大学出版の露訳「職業指導の基礎原理」を用いて、ペレストロイカに「F 式選職能力テスト」を使用することに関する検討会を開催し、これを可決し、1992 年より実施、その間を準備期間とすることを決定した。
アメリカ合衆国では、オハイオ州立大学において同年5 月24 日・25 日・26日の3 日にわたり全米雇用訓練センター、オハイオ州立大学、各州キャリアガイダンス督学官全国財団の共催にて優秀な督学官の合同研究会が開催され、「F式選職能力テスト」のWORKSHOP が行われ、新ためて全米に実施する「F 式選職能力テスト」の実施説明書の編集が決定した。
同年10 月9 日ソ連では国家国民教育委員会第648 号命令により「F 式選職能力テスト」を研究する目的をもって「学陵・労働・職業」と称する学術研究団体(期間を1992 年3 月迄の1 年半とし、バルト3 国を除く全共和国の代表者とモスクワ、レニングラード、ノボシビルスク、ユロスラフ、トムスク、ブリヤンスク、ボルタワその他多数の都市からの専門家によって組織され、30 万ルーブルの予算がついている)を設立し、実施委貴会を開催し、実施への準備を促進した。
同年12 月1 日ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州が独版ディスクを使用して「F 式選職能力テスト」を実施し、統一後の全独にも及ぼうとしている。
12 月4 日ヤーゴジンソ連国家国民教育委員会議長が来学、「F 式選職能力テスト」実施準備の進捗状況の報告あり、独版のディスクを提供して激励す。
1991 年2 月21 日・22 日・23 日アメリカ合衆国ハワイ州アシヤユニバーシテ牙センターにて、ニューハンプシャー、オクラホマ、ヴァージニア、ミズーリ各州の督学官を迎え、ハワイ州の実務担当者と共に昨年のオハイオ州での督学官会議で決定した「F 式選職能力テスト」実施説明書全米版「Career Orientation and Planning Profile』(略してC.O.P.P)の完成版編集と3 月フロリダ州オーランドでのWORKSHOP の準備のための会議を行った。
次いで同年3 月21 日・22 日・23 日フロリダ州において、オクラホマ、ヴァージニア、ケンタッキー、アリゾナ、サウス・カロライナ、ニューハンプシャー、ミズーリ、ミシシッピー各州の督学官とその実務担当者を対象にしたC.0.P.P. を使用したWORKSHOP が行われ、「F 式選職能力テスト」の全米実施が前進した。
5 月9 日・10 日・11 日と3 日にわたり第7 回職業指導学国際会議が「21 世紀の指導原理としての職業指導学の展開」をテーマとして開催され、その具体的方法として「F 式選職能力テスト」の実施の拡大と徹底が採決され職業情報、職業試行の提供の研究が付帯決議となり、1992 年11 月2 日〜4 日に開催される第8 回会議への継続審議となった。
また出席者は 職業指導学の研究と実践を行っている芦屋大学を審に見学 し、産業教育学科のカリキュラムと産業教育学科附置技術 研究棟(P44〜47 参照)の施設に驚いた。
以上よりして、今や職業指導学こそは、21 世紀の指導原理 であらねばならないことがご理解して戴けたと思う。
ここに学歌「輝け白亜」の歌詩に21 世紀をひらくわが使命を高らかに歌う意味がある。
註(1)職業指導学については文雅堂銀行研究社発行「職業指導研究第22 版」参照。
  (2)職業指導学国際会議については第1 回〜第7 回の同報告書を参照。
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集合写真米国教育長官賞米国教育長官賞・サイン部分

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